小田原城跡本丸には、かつて「七本松」と呼ばれた名木群の生き残りとして、樹齢400年を超える巨マツが静かに立っています。市指定天然記念物にも選ばれたこのクロマツは、長い年月を経てもなお力強く枝を広げ、城跡の歴史を今に伝える存在です。本記事では、巨マツの歴史的背景や樹形の特徴、現在の保全状況などを、樹木医・造園の視点からわかりやすく解説します。
難攻不落の小田原城
神奈川県小田原市。ここは小田原城です。
戦国時代。北条氏(五代約100年)のお城で。 上杉謙信や武田信玄といった凄い名将に攻め込まれても持ちこたえた。「難攻不落の城」です。
豊臣秀吉の小田原征伐(1590年)の際には、城下町全体を全長約9kmにわたる堀と土塁で囲った巨大な「総構(そうがまえ)」を築き、対抗したことでも有名です。
そんな小田原城の本丸の中に、本当にきれいな松がありました。
小田原城跡本丸の巨マツ
「小田原城跡本丸の巨マツ」です。
江戸時代の古い文献では、本丸の多聞櫓の近くに「七本松」と呼ばれる老松の群生があったことが書かれています。
この巨マツは、その「七本松」のうち、生き残りの1本です。
樹齢は400年。江戸時代の初めの方からある松ですので、次々と群れの松が枯れていく中、この松は、雨や強風、病害虫に耐えながら、この本丸を見守ってきた松です。
下から見ると、
本当に立派ですね。まさに巨マツ。支柱も強力な鉄骨を使用しています。
しかし、この松にはすごく心配なことがあります。
倒れるな!巨マツ。
この巨マツを真横からとった写真。左に大きく傾いています。
これだけの巨体がこれほど大きく傾くと根際付近や根っこにかかる負荷は測りしれません。
気になる根際付近です。
雷によるらしい大きな傷痕があります。腐朽が進み外科手術的な治療がしてありますが、おそらく、腐りは内部奥深くまで達していそうですね。
大きく傾いた巨体を支える根際としては、なんとも心配な限りです。強力な支柱でこの巨大な老木はもっています。
巨マツと相模湾
小田原城の天守閣に登りました。
そこから見た巨マツです。
悠々と相模湾を臨む巨マツ。老木ながらも王者の風格です。
これからも、小田原の歴史を見守ってほしい。
樹木医 松井裕之
(小田原城跡本丸の巨マツのスペック)
- 樹種: クロマツ
- 樹高: 約30m(小田原市内のマツで最大級)
- 幹周(目通り): 約5.3m
- 推定樹齢: 約400年
- 指定: 小田原市指定天然記念物(1981年指定)、かながわの名木100選
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