静岡市清水区の名勝|龍華寺「観富園」の歴史と須弥山石組のご紹介
静岡市清水区にある龍華寺(りゅうげじ)の「観富園(かんぷえん)」。かつて富士山を借景として取り込んだことからその名がついたこの庭園は、江戸時代初期に作庭された国指定の名勝です。
なかでも、「須弥山(しゅみせん)石組」は、最大の見どころ。しかし、「なんとなく綺麗だけど、どう見たらいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、樹木医の視点を交えながら、観富園の歴史や須弥山石組に込められた深い世界観を分かりやすく解説します。この記事を読めば、名庭園の美しさと奥深さが何倍にも感じられるはずです。
龍華寺(りゅうげじ)

龍華寺は、静岡県静岡市清水区のあるお寺です。「りゅうげじ」と読みます。1670年、江戸時代の初めの頃に日近上人というが、富士山がきれいに見えるという事でここにお寺を建てられたのが始まりだそうです。
当時の天皇である東山天皇がこのお寺を「観富士龍華寺」と名付けられたそうです。そして、紀州徳川家と水戸徳川家の寄進で本堂と庭園が造られました。また、天然記念物のソテツがあります。
観富園(かんぷえん)
観富園の基本構想
この庭園は「観富園」(かんぷえん)という名前で東海屈指の名庭園と言われています。「富士山を観(み)る庭園」という意味を込められています。池泉庭園であり須弥山式庭園(しゅみせんしきていえん)となっています。

この写真が「観富園」の主な部分です。右に移っている屋根は御本堂です。
観富園の基本構想は、次のようです。
- 池が駿河湾
- 本堂を富士山に見立てている
- 石組みをしている築山が有度山脈
です。
この庭は、まさに東海地方の縮図となっているわけです。
須弥山石組(しゅみせんいわぐみ)

これが須弥山石組(しゅみせんいわぐみ)です。先ほどの有度山脈に当たる個所です。大きな石を立て天に突き抜ける山を表現しています。
須弥山(しゅみせん)は仏教思想に基づく世界の中心の山です。仏教の世界観である「九山八海(くせんはっかい)」では、須弥山は9つの山と8つの海から構成されています。須弥山(別名:妙高山)は、仏教の宇宙観において九山八海の中心に位置し、天を突き抜けるほど高くそびえる山で、その頂上には天上人が住んでいるとされています。
もう少し、かみ砕いて解説します。
須弥山石組の基本構造と世界観

- 中心の「須弥山石(しゅみせんせき)」
- 世界の中心にそびえ立つとされる聖なる山「須弥山」を表します。庭園の中では、最も高く、風格のある中心的な巨石がこれにあたります。その頂上には天上人が住んでいる。
- 周囲を囲む「九山八海(くせんはっかい)」
- 須弥山の周りには、9つの山と8つの海が同心円状に広がっているとされています。これを表現するために、中心の石の周りに水を配したり(池泉)、白砂で波を表現したり(枯山水)、低い石を職人技で配置したりします。
- 三尊石組(さんぞんいわぐみ)との融合
- 仏教の三尊仏(阿弥陀如来と両脇侍など)に見立てた石組と組み合わされることも多く、庭全体が「仏の世界(理想郷)」としてデザインされています。
これが須弥山石組です。先ほどの有度山脈に当たる個所です。大きな石を立て天に突き抜ける山を表現しています。
観富園 上からの眺望

観富園の上からの眺望です。
ここから見ても先程の観富園の基本構想に当てはめてみて楽しめます。
- 池が駿河湾
- 本堂を富士山に見立てている
- 石組みをしている築山が有度山脈
です。この場合、有度山脈を見下ろせます。達観。
庭園越しにホンマもんの駿河湾の絶景が広がります。ここからはホンマもんの富士山が見えるのですが、今回は曇っていて見えませんでした。
樹齢360年の亀松

観富園の中にはたくさんの古木があります。これは樹齢360年の亀松か?頑張って生きています!というのが伝わってきますね。

枯れた枝も白くなって古木の迫力と味がにじみ出ています。
龍華寺の蘇鉄
これが天然記念物に指定されている「龍華寺の蘇鉄」です。中国から移植されたと伝わっています。
「樹木医・松井裕之の一言」
龍華寺,観富園には、見事な須弥山式庭園、有名なソテツの他、樹齢800年のビャクシン、樹齢300年以上と言われるサボテンがあり、見どころが満載です。
しかし、気になることは、ソテツは少しづつ樹勢が劣ってきている様子、また亀松・鶴松をはじめその他、心配な庭園樹もありました。石組みも位置や傾きを修正すべき個所が見当たり、少しさびしい気分になりました。
この庭園は、歴史ある貴重な庭園です。これからも大切な遺産として後世に残していくべきものと思います。
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